私は37年余京都大学呼吸器外科を中心にがん治療、特に肺がんにおいて外科治療、抗がん剤・放射線治療等に関わってきました。その中で一番感じたことは、この治療は「自分ががんになったときに受けたい治療だろうか」でありました。2006年末に、第47回日本肺癌学会学術集会会長になったのを機に、「自分や家族が患者になったときに受けたい治療の創造」「患者さん,個人に合った『QOLを保った抗がん剤治療』」をテーマに考えてまいりました。そして「強い抗がん剤治療には限界があり、特に術後は副作用のほとんどない治療を受けるべき」と結論に至りました。